Japanische Klassiker mit Furigana
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しん・すいこでん
新・水滸伝
吉川 英治
Lesen Sie 新・水滸伝 (しん・すいこでん) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 684.899 Zeichen · 1374 Bildschirme
……だが兄哥、こんな薄野呂にしちゃあ、存外な大金を持ッてたものだな」
「やいやい。よけいなことはいわねえでもいい。このだんびらで、俺がそいつの素ッ首を叩ッ斬るから、てめえも、すこし船ベリの際へ出て、そいつの背中をぐッと前へ突ン出させろ」
「よしきた! こうか!」
「そうだっ」
言ったと思うと、船頭のだんびらは、意外にも、仲間の男を、一颯のもとに斬り殺し、そしてまたすぐ、張順の頭上へ、次のやいばを振りかぶって来た。張順は体がきかない。振り下ろしてきた相手のものをかわすやいな、相手の腰の辺りを足で蹴とばして、身は、揚子江の流れへむかって飛びこんでいた。
元々、張順は、ここの生れだ。揚子江の水で産ぶ湯をつかい、大江の河童といわれたくらいな者で、水の中に浸ったままでも二タ晩や三晩は平気な男なのである。
縛られてはいたが、流れにまかせながら縄目を咬み切り、やがて南の岸へ、鮫のごとく、波を切って、泳ぎついていた。
「ううッ。陸のほうが、よっぽど寒いや」
張順は、火を見つけた。馳けだして行って見ると、一軒の田舎酒屋だ。
「わっ、助かった。火にあたらせてくれ。凍え死ぬ」
「おや、お客人、どうなすった?」