Japanische Klassiker mit Furigana
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しん・すいこでん
新・水滸伝
吉川 英治
Lesen Sie 新・水滸伝 (しん・すいこでん) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 684.899 Zeichen · 1374 Bildschirme
霊官廟じゃあ、寝込みで是非もなかったが、いまはちッと俺さまが違うぞ。いわれもねえ縄目の返礼だ、雷横、覚悟っ」
振りかぶってきた野太刀の迅さ――。雷横はかわすひまもなく、腰の官綬刀を抜いてバシッと受けた。そのまま打々発止と火花の間に斬りむせび合うこと数十合――。
わっと騒ぎ廻る捕手たちが、横から手を出す一瞬のすきもない。
「こんな小僧っ子」――雷横は闘いつつ、まわりの部下へ、豪語した。「――おれ一人でたくさんだ。手を出すな。遠巻きに見物していろ」
しかし、結果は、彼の大言の通りにゆくかどうか、なんともいえぬ形勢に見える。
雷横の刀術に、鳳の概があれば、赤髪鬼の野太刀にも、羽を搏つ鷹の響きがあった。赤髪の影が旋風に沈めば、迅雷の姿が、彼の上を躍ッて跳ぶ。――いずれにも、流儀があり、技があり、法にかなった秘と秘の術競べとはなったので、この勝負、いつ果てるともみえなかった。
だが、雷横の部下たるもの、もう見ては、いられない。
「――あっ、お頭があぶないッ」
誰かが叫ぶ。
同時に、どっと助太刀にうごきかけた。
ところが、すでにその寸前、街道わきの緑蔭静かな一戸の垣の網代戸から、さッと走り出てきた田鶴のごとき人品のひとがある。