Japanische Klassiker mit Furigana
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はたもとたいくつおとこ
旗本退屈男
佐々木 味津三
Lesen Sie 旗本退屈男 (はたもとたいくつおとこ) von 佐々木 味津三 (ささきみつぞう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 240.656 Zeichen · 478 Bildschirme
これはまた急に色模様が変ったな。仔細は何じゃ、一体どうして今朝ほどのあのかわいらしい姿をこんな世捨人に替えたのじゃ」
「それもこれも……」
「それもこれもがいかが致した」
「お恥ずかしいこと、恋ゆえにござります」
「わははは、申したな。申したな、恋ゆえと申したな。いやずんと楽しい話になって参ったわい。身共も恋の話は大好きじゃ。聞こうぞ、聞こうぞ。誰が対手なのじゃ」
「申します。申します。お力におすがり致しますからには何もかも申しますなれど、あのそのような、そのような大きいお声をお出しなさいましては、奥に聞かれるとなりませぬゆえ、もう少しおちいさく……」
「なに! では、そなたの災難も今奥へ消えていった荒法師玄長に関りがござるか」
「あい。ある段ではござりませぬ。あの方様は御院代になったのを幸いにして、いろいろよからぬ事を致しまするお方じゃとの噂にござります。それとも知らずお弟子の念日様に想いをかけましたがわたしの身の因果――、わたくしは岩淵の宿の者でござります。このお山の川の川下の川ほとりに生れた者でござります。ついこの春でござりました。念日様が御弘法旁々御修行のお山の川を下って岩淵の宿へおいでの砌、ついした事から割りない仲となりましたのでござります。