Japanische Klassiker mit Furigana
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はたもとたいくつおとこ
旗本退屈男
佐々木 味津三
Lesen Sie 旗本退屈男 (はたもとたいくつおとこ) von 佐々木 味津三 (ささきみつぞう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 240.656 Zeichen · 478 Bildschirme
「たけだけしいことを申すでない。ひと事らしゅう女犯の罪なぞと申さば裏の杜の梟が嗤おうぞ」
「ぬかしたなッ。では、おぬし、五万石の尊い寺格、許しもうけずに踏み荒そうという所存かッ。詮議禁制、俗人不犯の霊地を荒さば、そのままにはさしおきませぬぞッ」
「またそれか、スリの女を手飼いに致す五万石の寺格がどこにあろうぞ。秘密はみな挙ったわッ。どうじゃ売僧! そちの罪業、これなる恋尼に、いちいち言わして見しょうか!」
「なにッ!……」
「そのおどろきが何よりの証拠じゃ。どうじゃ売僧! これにても霊地荒しの、俗人不犯のと、まだ四の五の申すかッ」
「そうか! 女めがしゃべったか。かくならばもう是非もない! ひと泡吹かしてくれようわッ」
だッと掴みかかろうとしたのを、静かにするりとかいくぐっておいて、疾風のように逃げ出そうとした女スリを横抱きに猿臂を伸ばしざま抱きとると、
「総門外までちと土産に入用じゃ。――女! 騒ぐでない。江戸旗本がじきじきに抱いてつかわすのじゃ」
もがき逃れようとして焦るのを軽々と荷物のように運びながら、うしろにおどおどしている恋の二人を随えて、ずいずいと歩み出しました。