Japanische Klassiker mit Furigana
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はたもとたいくつおとこ
旗本退屈男
佐々木 味津三
Lesen Sie 旗本退屈男 (はたもとたいくつおとこ) von 佐々木 味津三 (ささきみつぞう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 240.656 Zeichen · 478 Bildschirme
進んでは退き、尻ごみしては小者達がひしめきどよめきつつ構え直しているとき、タッ、タッ、タッと宵闇の向うから近づき迫って来たのは、まさしく蹄の音でした。知るや、どッと捕り方達の気勢があがりました。
「お目付じゃ。村沢様じゃ。お目付の村沢様お自ら出馬遊ばされましたぞッ。かかれッ。かかれッ。捕って押えろッ」
色めき立った声と共に、いかさま馬上せわしく駈け近づいて来たのは、七八人の屈強な供侍を引き随えた老職らしいひとりです。同時に馬上から声がありました。
「捕ったかッ、捕ったかッ。――まごまご致しおるな。たかの知れた隠密ひとりふたり、手間どって何ごとじゃッ。早う召し捕れッ、手にあまらば斬ってすてろッ」
「………」
「よッ。見馴れぬ素浪人の助勢があるな! 構わぬ! 構わぬ! そ奴もついでに斬ってすてろッ」
「控えい! 控えい! 素浪人とは誰に申すぞ。下りませい! 下りませい! 馬をすてい!」
きいて、ずいと進み出たのは主水之介です。
「無役ながらも千二百石頂戴の天下お直参じゃ! 陪臣風情が馬上で応待は無礼であろうぞ。ましてや素浪人とは何ごとじゃ。馬すてい!」
「なにッ?」