Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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はたもとたいくつおとこ

旗本退屈男

佐々木 味津三

Lesen Sie 旗本退屈男 (はたもとたいくつおとこ) von 佐々木 味津三 (ささきみつぞう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 240.656 Zeichen · 478 Bildschirme

Aozora Bunko

「ま! 変ったことばかりなさる御兄様! おひとりでは御寂しいゆえに御出かけ遊ばしますなら、わたくしがどのようにでも御対手致します。久方ぶりでござりますもの、今宵だけはこのまま御屋敷へ御帰り遊ばしましたがいいではござりませぬか」

「真平じゃ。うっかりそちの口車なぞに乗ったら、この兄の身体、骨と皮ばかりになろうわ。さぞかし手きびしく当てつけることであろうからな。わッはは。邪魔な独り者には吉原でよい妓が待っておるとよ。京弥! 程よく可愛がってつかわせよ。――流水心なく風また寒し。遙かに華街の灯りを望んでわが胸独り寥々……」

微吟しながら行くうしろ影の淋しさ。主水之介またつねにわびしく寂しい男です。――だが、行きついたその吉原は、灯影に艶めかしい口説の花が咲いて、人の足、脂粉の香り、見るからに浮き浮きと気も浮き立つような華やかさでした。

「九重さん」

「何ざます?」

「御大尽がもうさき程からやかましいことをおっしゃってお待ち兼ねですよ」

「いやらしい。そう言ってくんなんし。わちきにも真夫のひとりや二人はござんす。ゆっくり会うてから参りますと、そう言ってくんなんし」