Japanische Klassiker mit Furigana
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はたもとたいくつおとこ
旗本退屈男
佐々木 味津三
Lesen Sie 旗本退屈男 (はたもとたいくつおとこ) von 佐々木 味津三 (ささきみつぞう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 240.656 Zeichen · 478 Bildschirme
「ウフフ。そちも惚れたか」
「娘があったら、無理矢理お小間使いにでも差しあげてえ位ですよ」
「ところがもう先約ずみで喃。お気の毒じゃが妹菊めが角を出そうわ。――みい! みい! 言ううちに三人目もまたあっさり芋虫にしたようじゃ。三匹並んで長くなっておるところは、どうみても一山百文口よ喃」
いかさまその言葉のごとく、三人目もすでに脾腹の一撃に出会って、手もなくそこへのけぞったところでした。四人目も元より一撃。疲労の色も見せずに、綽々として京弥が五人目を促そうとしたとき、にたりと残忍そうに嘲笑って、矢庭にすっくと立ち現れたのは二の弟子の吉田兵助です。しかも彼、一二と指を屈せられる門人だけあって、目の利いていたのはさすがでした。
「味な稚児ッ小僧じゃ。貴様道場荒しじゃなッ。拙者が釜淵流の奥義を見せてやる。得物はこれじゃ。来いッ」
ぴいんと胆の髄までひびき渡るような練り鍛えられた叫びと共に、さッと繰り出したのは、奇怪! 穂先もドキドキと磨ぎ澄まされた真槍なのです。――俄然、道場内は時ならぬ殺気に覆い尽されました。並居る門人達の色めき立ったのは言うまでもないこと、表の武者窓下に佇み忍んでいた峠なしの権次も思わずあッと目を瞠って、主水之介の袖を慌てて引きながら囁きました。