Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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はたもとたいくつおとこ

旗本退屈男

佐々木 味津三

Lesen Sie 旗本退屈男 (はたもとたいくつおとこ) von 佐々木 味津三 (ささきみつぞう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 240.656 Zeichen · 478 Bildschirme

Aozora Bunko

「ウフフ。また槍でござるか。生かして帰さぬとあらば主水之介、傷に物を言わせて生きて帰るまでじゃが、隆光を憎しみなさるはよいとして、罪なき人夫を首にするとは何のことぞ。さればこそ、竜造寺長門守も耄碌召さったと申すのじゃ。いかがでござる。言いわけおありか」

「のうて何とするか! 隆光が献策致せし生類憐れみの令ゆえに命を奪られた者は数限りがないわ。京都叡山、天台の座首も御言いじゃ。護持院隆光こそは許し難き仏敵じゃ。彼を生かしておくは仏の教を誤る者じゃと仰せあったわ。さるゆえ竜造寺長門、これを害めるに何の不思議があろうぞ。憎むべき仏敵斃すために、人夫の十人二十人、生贄にする位は当り前じゃわ」

「控えませい!」

「なにッ」

「十人二十人生贄にする位当り前とは何を申されるぞ。悪を懲らすに悪を以てするとは下々の下じゃ。隆光いち人斃すの要あらば正々堂々とその事、上様に上申したらよろしかろうぞ。主水之介ならばそのような女々しいこと致しませぬわ!」

「………」

「身共の一語ぐッと胸にこたえたと見えますな。そうでござろう。いや、そうのうてはならぬ。男子、事に当ってはつねに正々堂々、よしや悪を懲らすにしても女々しき奸策を避けてこそ本懐至極じゃ。