Japanische Klassiker mit Furigana
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はたもとたいくつおとこ
旗本退屈男
佐々木 味津三
Lesen Sie 旗本退屈男 (はたもとたいくつおとこ) von 佐々木 味津三 (ささきみつぞう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 240.656 Zeichen · 478 Bildschirme
伜がよからぬ死に方したとあっては、定めし寝もやらず、まだ打ち騒いでおるであろう。よい退屈払いじゃ。そちも供するよう乗物支度させい」
いかさま棄ておけない事でした。心中を遂げた筈の男女から不気味至極な折箱到来とあっては、よい退屈払いどころか、事が穏かでないのです。
打ち乗ればもう直参千二百石、京弥をつれての道中も悪くないが、乗り心地もまた悪くない。
町から町は凩ゆえにか大方もう寝しずまって辻番所の油障子にうつる灯が、ぼうと不気味に輝いているばかり……。
「その駕籠待たッしゃい。急いでどこへお行きじゃ」
「身共じゃ。退屈払いに参るのよ。この眉間をようみい」
「あッ。傷の御前――いや、早乙女の御前様でござりまするか。御ゆるりと御保養遊ばしませい」
保養とは言いも言ったり、傷も江戸御免なら退屈払いも今はすでに江戸御免でした。――急ぎに急いで、察しの通りまだカンカンと灯をともしている糸屋六兵衛方の店先へ乗りつけると、これがまたわるくないのです。
「直々の目通り、苦しゅうないぞ。主人はおるか」
「おりますが、只今ちょッと家のうちに取込みがござりますゆえ、出来ますことならのち程にでも――」