Japanische Klassiker mit Furigana
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はたもとたいくつおとこ
旗本退屈男
佐々木 味津三
Lesen Sie 旗本退屈男 (はたもとたいくつおとこ) von 佐々木 味津三 (ささきみつぞう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 240.656 Zeichen · 478 Bildschirme
血は塗った血、おろか千万なこのつくり十五郎は、まぎれもなく昼間森田座で見かけたあの黒鍬組の小侍のひとりなのです。
「たわけがッ。傷の早乙女主水之介を何と心得おるぞ。腰本治右の差図か!」
「そ、そ、そうなんでござります。おまえらふたり、十五郎に化けて、かようかように梅甫夫婦を脅して来いと言われましたゆえ、迷って出たのじゃ、今すぐ別れろと、うまうまひと狂言書いたのでござります」
「夜な夜な玄関先の寒竹の繁みの中とやらへも、白い影が出るとか申したが、それもおまえらの仕業か」
「相済みませぬ。あそこの生き埋めの井戸というのがあるのを幸い、脅しつけろ、と腰本様がおっしゃりましたゆえ、変化の真似をしたのでござります……」
「たわけものめがッ。その方共も黒鍬組のはしくれであろう。下賤者ではあろうとも黒鍬組はとにもかくにも御直参の御家人じゃ。他愛もない幽霊の真似なぞするとは何のことかッ。腰本治右に申すことがある。少し痛いが待て。――梅甫、料紙をこれへ持参せい」
足で踏んまえながら、さし出した筆と紙を手にとると、主水之介はさらさらと書きしたためました。
「早乙女主水之介、傷供養に喧嘩を買った。