Japanische Klassiker mit Furigana
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はたもとたいくつおとこ
旗本退屈男
佐々木 味津三
Lesen Sie 旗本退屈男 (はたもとたいくつおとこ) von 佐々木 味津三 (ささきみつぞう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 240.656 Zeichen · 478 Bildschirme
「何でござります。お将軍さまのお息がかかるというのは何のことでござります」
「おまえと京弥みたいなものよ」
「菊路はそんな、京弥さまに息なぞかけたことござりませぬ」
「アハハ。かけたことがなければ急いでかけいでもいい。このうえ見せつけられたら、兄は焼け死ぬでのう。あすは来るやも知れぬ。来たら分るゆえまてまて」
しかし、四日が来たのにやはり何の沙汰もないのです。
五日が経ったがやはりない。
こっちへは何の挑戦がなくとも湯島の方へ何か仕掛けたら、梅甫から急の使いでも来そうなのに、それすらもないのです。
いぶかしみつつ六日目の夕方を迎えたとき、京弥が色めき立って手をつきました。
「来たか!」
「はッ」
「何人じゃ」
「ひとりでござります」
「なに、ひとり?」
「このようなもの持参いたしました」
「みせい!」
さし出したのは、すばらしくも贅沢きわまる文筥なのです。
しかし、中の書状に見える文字は、またすばらしくもまずい金釘流なのでした。
「てまえごときもの、とうてい、お対手は出来申さず候。ついてはおわび旁々、おちかづきのしるしに、粗酒一献さしあげたく候間、拙邸までおこし下さらば腰本治右衛門、ありがたきしあわせと存じ奉りあげ候」