Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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はたもとたいくつおとこ

旗本退屈男

佐々木 味津三

Lesen Sie 旗本退屈男 (はたもとたいくつおとこ) von 佐々木 味津三 (ささきみつぞう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 240.656 Zeichen · 478 Bildschirme

Aozora Bunko

いけぬかな」

「いや分りましてござります。重々御尤もな仰せなれば、手前一つお力添え致しまして、十年分ごといち時に献納させてお目にかけましょうが、いかがにござりましょう」

「ほほう、その方が身のために力を貸すと申すか、眼の配り、向う傷の塩梅、いちだんと胆も据っておりそうじゃ。見事に貸し分取り立てて見するかな」

「御念までもござりませぬ。お墨付を蔑ろに致すは、即ち葵御宗家を蔑ろに致すも同然、必ずともに御気分の晴れまするよう、御手伝い仕りましょうが、一体いかほどばかりござりましたら?」

「左様喃。何を申すも十年分じゃ、三万両ではちと安いかな」

「いや頃合いにござりましょう。然らば恐れながらお耳を少々――」

「うん、耳か耳か。よいよい、何じゃな……」

「………」

「ふんふん、なるほどな。では、先刻供先の者共、身が容子探りに参ったと申すか。七十三万石にも似合わず、なかなかに細かいのう。いや、その方の工夫至極と面白そうじゃ。言ううちに行列参るとならぬ。早うせい。早うせい」

忽ち奇策成ったと見えて、退屈男自らも手伝いながら、釣りをしまって川岸を引きあげると、陣屋の中にすうと姿をかくして、ぴたり真一文字に御門の扉を閉め切りました。