Japanische Klassiker mit Furigana
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はたもとたいくつおとこ
旗本退屈男
佐々木 味津三
Lesen Sie 旗本退屈男 (はたもとたいくつおとこ) von 佐々木 味津三 (ささきみつぞう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 240.656 Zeichen · 478 Bildschirme
「御尤もでござります。おっしゃることは重々御尤もでござりまするが、実はその、あの、何でござります。わたくし、ついきのうからこの刺し屋を始めましたばかりでござりますゆえ、なかなかその思うように刺せんのでござります。それゆえあの、ついその……」
「こやつ、わしを老人と見て侮っておるな! ようし! それならば消えて失くなるようにお禁厭してやるわ。そこ退くなッ」
よぼよぼしながら社務所の内へとって帰ったかと見えたが、程たたぬまに携えて帰って来たひと品は、おどろく事に六尺塗り柄の穂尖も氷と見える短槍でした。リュウリュウと麻幹のごとく見事にしごいて、白髯たなびく古木の面に殺気を漂よわながら、エイッとばかり気合もろ共鳥刺しの面前にくり出すと、
「小僧ッ、これでも消えぬかッ」
すべてが全くすさまじい変化でした。足腰のしゃんと立ったのは言うまでもないこと、声までがしいんと骨身にしみ透るように冴え渡って、手の内がまた免許皆伝以上、しかも流儀は短槍にその秘手ありと人に知られた青江信濃守のその青江流なのです。
「ほほう、老人、なかなか味をやりおるな」
何かは知らぬが事ここに及んでは、もう退屈男もゆるゆると高見の見物ばかりしていられなくなりました。