Japanische Klassiker mit Furigana
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はたもとたいくつおとこ
旗本退屈男
佐々木 味津三
Lesen Sie 旗本退屈男 (はたもとたいくつおとこ) von 佐々木 味津三 (ささきみつぞう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 240.656 Zeichen · 478 Bildschirme
と申すはほかでもないが、当大和田の郷に、みめよき女子と見ればよからぬ病の催す不埓な旗本がひとりおるのじゃ。領民達の妻女、娘なぞを十一人も掠め奪り、沙汰の限りの放埓致しおると承わったゆえ、早速に兄が懲らしめに参ろうと思うたが、わるいことにきやつめ、兄と面識のある間柄なのじゃ。それゆえ……」
「分りました。それゆえ顔を見知られぬこの菊に、お兄様に代って懲らしめに参れとおっしゃるのでござりまするか」
「然り。なれども只懲らしめに参るのではない。ちとそこに工夫がいるのじゃ。今も申した通り、至っての女好きじゃでな。さぞかしそちとしては辛くもあろうし、きくもけがわらしい事であろうが、一つには可哀そうな十一人の女子のために、二つにはその女子共を掠められて恨み泣きに泣き恨んでおる領民共のために、三つには八万騎旗本一統の名誉のために、そちが重責荷った節婦になるのじゃ。それゆえ、よいか、このように申してそちひとりがきゃつの屋敷に乗り込んで参れよ。わたくし、旅に行き暮れて道に踏み迷い、難渋致しておる者でござります。ぶしつけなお願いでござりまするが、いち夜の宿お貸し願えませぬかと、この様にな、さもさも困り果てているように見せかけてまことしやかに申すのじゃ。