Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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はたもとたいくつおとこ

旗本退屈男

佐々木 味津三

Lesen Sie 旗本退屈男 (はたもとたいくつおとこ) von 佐々木 味津三 (ささきみつぞう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 240.656 Zeichen · 478 Bildschirme

Aozora Bunko

「何じゃ。こ、これは何じゃ! 勝手にこのようなものを書いて、何とするのじゃ!」

「勝手に書いたとは何を申すぞ、この一埓、表立って江戸大公儀に聞えなば、家名断絶、秩禄没収は火を睹るより明らかじゃ。せめては三河ながらの由緒ある家名だけはと存じて、主水之介、わざわざ手数をかけその方を坊主にしてやったのじゃ。有難く心得て書判せい」

ぐいとその手をねじむけて、介添えながら十郎次に書判させると、折から晴れ晴れとした顔で再び姿を見せた老神主に、大目付上申のその奉書をさしながら、莞爾として言った事でした。

「御老体いかがじゃ。こうして十郎次を隠居放逐しておいて、家名食禄を舎弟に譲り取らしておかば、この先当知行所の女共は元より、領民一統枕を高くして農事にもいそしめると言うものじゃ。御気持はいかがでござる。屈強な者共二三人えりすぐって、これなる上申書、すぐさま江戸へ持参するよう、御手配なさりませい」

「ウフフ、あはは、左様か左様か。病の根を枯らし取ると言うたはこの事でおじゃったかい。いや、さすがは干物がお好きなだけのものがおじゃる。飛ばそう、飛ばそう。すぐに江戸へ飛ばしましょうが、その間、丁度よい都合じゃ。