Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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はたもとたいくつおとこ

旗本退屈男

佐々木 味津三

Lesen Sie 旗本退屈男 (はたもとたいくつおとこ) von 佐々木 味津三 (ささきみつぞう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 240.656 Zeichen · 478 Bildschirme

Aozora Bunko

しかし、十吉とてもなかなかにさるもの、投げ出されたかと見るまに、くるり一つ廻って立ち直ると、おそろしく言葉の汚ない大名もあればあるもので、憤りながら叫びました。

「太てえ奴だッ。この女、男だぞ。俺のお株を奪やがって、何か仔細あるに違げえねえ。そらッ、野郎共、のしちまえッ」

正体を見破られたと知ったので、権之兵衛が叫びながら駈け出しました。

「百化け十吉! もう逃がさぬぞッ」

ばたばたと走りよったものでしたから、ぎょッとなったのは言わずと知れた十吉でした。

「そうかッ。木ッ葉役人の化け手先だったかッ。うぬらに捕まる百化けのお兄さんかい。へえい、さようなら。おとといおいでよ――」

配下のものに女装の京弥をさえぎらしておいて、ひたひた逃げのびようとしたので、何条権之兵衛の許すべき、韋駄天にそのあとを追っかけました。

とみて、ようやく退屈男も塀かげから姿を見せると、小走りにそのあとを追って参りましたが、こはそも不思議! 今、そこの小暗い蔭に、ちらり十吉の大名姿が吸いこまれたかと思ったあいだに、どうしたことか切支丹伴天連の妖術ででもあるかのごとく、すうとその姿が見えなくなったので、丁度そこへ配下の者をのけぞらしておいて、逸早く走りつけた京弥共々、等しく三人があっけにとられているとき、不意にそこの小屋敷のくぐり門が、ぎいと