Japanische Klassiker mit Furigana
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はたもとたいくつおとこ
旗本退屈男
佐々木 味津三
Lesen Sie 旗本退屈男 (はたもとたいくつおとこ) von 佐々木 味津三 (ささきみつぞう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 240.656 Zeichen · 478 Bildschirme
「馬鹿者ッ、行くつもりかッ」
裂帛の叱声が夜の道に散ったと同時で、ぎらりと銀蛇が閃いたかと思われましたが、まことに胸のすく殺陣でした。すでに化け僧の五体は、つう! と長い血糸をひきながら、そこにのけぞっていたところでした。
「おッ。少し手が伸びすぎたか」
呟きながら青白い月光の隈明りで、細身の刀身にしみじみと、見入っていましたが、そこへ権之兵衛が駈け走って参りましたので、にんめり微笑すると、詑びるかのごとくに言いました。
「許せ、許せ。生かしたままでそちの手柄にさせるつもりじゃったが、これが血を吸いたがってのう。つい手が伸びてしまったのじゃ」
そして、京弥をかえり見ながら、揶揄して言いました。
「もう十日程、そちを女にして眺めたいが、さぞかし菊めが待ち焦れておろうゆえ、かえしてやるか喃――」