Japanische Klassiker mit Furigana
ja-reading.com
Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.
にちりん
日輪・春は馬車に乗って 他八篇
横光 利一
Lesen Sie 日輪・春は馬車に乗って 他八篇 (にちりん) von 横光 利一 (よこみつりいち) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 86.787 Zeichen · 177 Bildschirme
しかし、彼の眼では分らなかった。ただ何となく姉は生々としていた。姉は間もなく裏の山へ行こうといい出した。二人は山へ来ると蘚(こけ)の上へ足を投げ出して坐った。真下に湖が見えた。錆色(さびいろ)の帆が一点水平線の上にじっとしていた。深い下の谷間からは木を挽(ひ)く音が聞えて来た。
「ボケを一本ひいて帰ろ。もう直(じ)き花が咲くえ。」
姉はそういいながら立って雌松林(めまつばやし)の方へ登っていった。彼はひとり長々と仰向(あおむ)きに寝て空を見ていた。長い間姉と二人でこういう所へ来てこういう風に遊んだことはなかった。彼は姉がたいへんに好きであった。
「こいつ、堅(かた)いわア。」と姉の声が頭の上でした。
彼が振り返って姉の方を見ると、姉は丁度躑躅(つつじ)をひき抜こうとしている両肱(りょうひじ)を下腹にあてがって後へ反(そ)り返(かえ)ろうとしている所であった。彼は姉の大切な腹の子供に気がついて跳ね起きた。
「よせ。」
彼は馳(か)けていって姉を押しのけると自分でその躑躅をひいてみた。根はなかなか堅かった。
「堅いやろ。二人かかるとええわ。」
そう姉はいってまた躑躅に手をかけようとした。