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Japanische Klassiker mit Furigana

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にちりん

日輪・春は馬車に乗って 他八篇

横光 利一

Lesen Sie 日輪・春は馬車に乗って 他八篇 (にちりん) von 横光 利一 (よこみつりいち) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 86.787 Zeichen · 177 Bildschirme

Aozora Bunko

そして、日向の父にそのことを報(し)らせると、父からは直ぐ返事が来て、幸子が腕を切断したというのは何かの間違いだろう、心配することはない、と書いてあった。すると偶然その日義兄の久吉からも手紙が来て、幸子も毒が片腕に廻っただけで身体へ来なかったため一命は助かり、今では元のように健全に這(は)い廻(まわ)っていると書いてあった。

彼は直ぐペンをとると、手紙を粗雑に書くのもほどがあるというような意味の怒った手紙を姉に書き始めた。が、それも力抜けがして中途で止(よ)してしまった。彼は重味のとれた怠惰(たいだ)な気持ちでぼんやり庭の白躑躅(しろつつじ)を眺めていた。それから暫くたった時、今日はうまい物を腹いっぱい食べて銭(かね)を費(つか)ってしまってやろうと思った。寿司(すし)が第一に眼についた。

彼は下宿を出た。が、気持ちがせかせかして周章(あわ)ててばかりいた。人が一といっている時自分が二といっているようだ。何か禍(あやま)ちをしそうな気がした。

十二

休暇になると彼は直ぐ姉の処へ帰った。

幸子は一人表(おもて)の間(ま)の格子(こうし)の桟(さん)を両手で握ってごとごと揺(ゆす)っていた。