Japanische Klassiker mit Furigana
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にちりん
日輪・春は馬車に乗って 他八篇
横光 利一
Lesen Sie 日輪・春は馬車に乗って 他八篇 (にちりん) von 横光 利一 (よこみつりいち) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 86.787 Zeichen · 177 Bildschirme
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彼は直ぐ友達へ出す葉書にこう書いた。
「愛という曲者(くせもの)にとりつかれたが最後、実にみじめだ。何ぜかというと、われわれはその報酬を常に計算している。しかしそれを計算しなくてはいられないのだ。そして、何故計算しなくてはならないかという理由も解らずに、しかも計算せずにはいられない人間の不必要な奇妙な性質(たち)の中に、愛はがっしりと坐っている。帳場(ちょうば)の番頭(ばんとう)だ。そうではないか?」
とにかく彼は幸子に触れずに終日見張りをしていなければならなかった。この仕事はなかなか神経を疲らせた。そうかといって、姉が彼の番を信用して溜っているいろいろの仕事にかかっている以上彼は姪を抛(ほ)っておくわけにはいかなかった。うかうか本に読み耽(ふけ)っているともう彼女は母を捜そうとして壁を伝いながら危険な腰つきで縁側(えんがわ)や上(あが)り框(かまち)の端へ行き、「ばア、ばア。」といいながら見えない向うの庭の方を覗(のぞ)こうとする。すると、彼は泣くのもかまわず室(へや)の中へ連れて来る。また出る。また連れ込む。こんなことを一日に幾回となく繰り返す。