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Japanische Klassiker mit Furigana

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にちりん

日輪・春は馬車に乗って 他八篇

横光 利一

Lesen Sie 日輪・春は馬車に乗って 他八篇 (にちりん) von 横光 利一 (よこみつりいち) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 86.787 Zeichen · 177 Bildschirme

Aozora Bunko

その出て行くときの彼女の礼節を無視した様子には、確に、長らく彼女を虐めた病人と病院とに復讎したかのような快感が、悠々と彼女の肩に現われていた。

六

梅雨期が近づき出すと、ここの花園の心配はこの院内のことばかりではなくなって来た。麓の海村には、その村全体の生活を支えている大きな漁場がひかえていた。上に肺病院を頂いた漁場の魚の売れ行きは拡大するより、縮小するのが、より確実な運命にちがいない。麓の活躍した心臓を圧迫するか、頂の死に逝く肺臓を黙殺するか、この二つの背反に波打って村は二派に分れていた。既に決定せられたがように、譬えこの頂きに療院が許されたとしても、それは同時に尽くの麓の心臓が恐怖を忘れた故ではなかった。

間もなく、これらの腐敗した肺臓を恐れる心臓は、頂の花園を苦しめ出した。彼らは花園に接近した地点を撰ぶと、その腐敗した肺臓のために売れ残って腐り出しただけの魚の山を、肥料として積み上げた。忽ち蠅は群生して花壇や病舎の中を飛び廻った。病舎では、一疋の蠅は一挺のピストルに等しく恐怖すべき敵であった。院内の窓という窓には尽く金網が張られ出した。