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Japanische Klassiker mit Furigana

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にちりん

日輪・春は馬車に乗って 他八篇

横光 利一

Lesen Sie 日輪・春は馬車に乗って 他八篇 (にちりん) von 横光 利一 (よこみつりいち) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 86.787 Zeichen · 177 Bildschirme

Aozora Bunko

海は岬に抱かれたまま淑かに澄んでいた。二人の看護婦が笑いながら現われると、満面に朝日を受けて輝やいている花壇の中へ降りていった。彼女たちの白い着物は真赤な雛罌粟の中へ蹲み込んだ。と、間もなく、転げるような赤い笑顔が花の中から起って来た。

彼の横で寝ていた若い女の患者も笑い出した。

「まア、あんなに嬉しそうに。」

「ほんとにね。でも、もうあなたも、すぐあそこをお歩きになれますわ。」と隣りの痩せた婦人がいった。

「そうでございましょうかしら、でも。」

「ええ。ええ、昨日も先生が、そう仰言っていられましてよ。」

「あたし、あの露のある芝生の上を、一度歩きたくってしょうがありませんの。」

「そうでございますわね。でも、もう直ぐ、あんなにお笑いになれますわ。」

看護婦たちはまた花の中から現われると、一枝ずつ花を折った。彼女たちは矢車草の紫の花壇と薔薇の花壇の間を朗かに笑いながら、朝日に絡って歩いていった。噴水は彼女たちの行く手の芍薬の花の上で、朝の虹を平然と噴き上げていた。

十二

彼の妻の腕に打たれる注射の数は、日ごとに増していった。彼女の食物は、水だけになって来た。