Japanische Klassiker mit Furigana
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にちりん
日輪・春は馬車に乗って 他八篇
横光 利一
Lesen Sie 日輪・春は馬車に乗って 他八篇 (にちりん) von 横光 利一 (よこみつりいち) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 86.787 Zeichen · 177 Bildschirme
我の妻になれ。我とともに生きよ。我に再び奴国の宮へ帰れと爾はいうな。我を待つ物は剣であろう。」
「待て。我の復讐は残っている。」
「我は復讐するであろう。我は爾に代って、父に代って復讐するであろう。」
「するか。」
「我は復讐する。我は長羅を殺す。」
「するか。」
「我は爾の夫に代って、爾の父と母に代って復讐する。」
「するか。」
「我は爾を不弥と奴国の王妃にする。」
その夜二人は婚姻した。頭の上には、蘭を飾った藤蔓と、数条の蔦とが欅の枝から垂れ下っていた。二人の臥床は羊歯と韮と刈萱とであった。そうして卑弥呼は、再び新らしい良人の腕の中に身を横たえた。訶和郎は馬から鹿の毛皮で造られた馬氈を降して、その妻の背にかけた。月は昇った。訶和郎は奴国の追い手を警戒するために、剣を抜いたまま眠らなかった。鼠は楠の穴から出てくると、ひとり枝々の間を飛び渡った。月の映る度ごとに、※(「鼬」の「由」に代えて「吾」、第4水準2-94-68)鼠の眼は青く光って輝いた。そうして訶和郎の二つの眼と剣の刃は、山韮と刈萱の中で輝いた。
その時、突然、卑弥呼は身を顫わせて訶和郎の腕の中で泣き出した。