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Japanische Klassiker mit Furigana

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にちりん

日輪・春は馬車に乗って 他八篇

横光 利一

Lesen Sie 日輪・春は馬車に乗って 他八篇 (にちりん) von 横光 利一 (よこみつりいち) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 86.787 Zeichen · 177 Bildschirme

Aozora Bunko

の木の心から製したの酒は、その傍の酒瓮の中で、薫ばしい香気を立ててまだ波々と揺いでいた。若者は片手で粟を摘むと、「卑弥呼。」と一言呟いた。

そのとき、君長の面前から下がって来た一人の宿禰が、八尋殿を通って贄殿の方へ来た。彼は痼疾の中風症に震える老躯を数人の使部に護られて、若者の傍まで来ると立ち停った。

「爾は何処の者か。」

宿禰の垂れ下った白い眉毛は、若者を見詰めている眼の上で慄えていた。

「我は路に迷える旅の者。」

「爾の額の刺青はである。爾は奴国の者であろう。」

「否。」

「爾の顎の刺青は月である。爾は奴国の貴族であろう。」

「否。」

「爾の唇の刺青は蔓である。爾は奴国の王子であろう。」

「否、我は路に迷える旅の者。」

「やめよ。爾の祖父は不弥の王母を掠奪した。爾の父は不弥の霊床に火を放った。彼を殺せ。」

宿禰の茨の根で作った杖は若者の方へ差し向けられた。忽ち、使部たちの剣は輝いた。若者は突っ立ち上ると、掴んだ粟を真先に肉迫する使部の面部へ投げつけた。剣を抜いた。と見る間に、使部の片手は剣を握ったまま胴を放れて酒の中へ落ち込んだ。使部たちは立ち停った。若者は飛び退くと、杉戸を背にして突き立った。