Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

ja-reading.com

Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.

やなぎばしものがたり

柳橋物語

山本 周五郎

Lesen Sie 柳橋物語 (やなぎばしものがたり) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 104.300 Zeichen · 202 Bildschirme

Aozora Bunko

浅草寺の境内へはいったが、さてどことなるとなかなか場所がなかった。奥山には蓆掛けの見世物小屋がもちろんもうしまったあとでひっそりと並んでいる。小屋の中なら暖かいが、そんな稼業の者の手には渡したくない。本堂から淡島さまのほうをまわってみた、けれども此処ならという処がどうしてもみつからないのである。

「あたし気が弱くなったんだわ、ここまできて捨てられなくなったんだわ」おせんはふと立停ってから呟いた、「――子を捨てるのにいい場所なんてある筈がないじゃないの、もう思い切らなければ」

そこは鐘楼のある小高い丘の下だった。すぐ向うに池があり、鯉や亀が放ってあるので、おせんは小さいじぶんよく遊びに来たものだ。此処にしようと決心して、紐を解き、背中から子供を抱きおろした。――子供は眠ったまま両手でぎゅっとしがみつき、仔猫のするように顔をすりつけた。

「おおよちよち、ねんねよ、おとなにねんねよ幸坊」

おせんは抱きしめて頬ずりをしながら、しずかにねんねこで子供をくるんだ、

「――堪忍してね、ああちゃんの一生のためだからね、いいひとに拾われて仕合せになるのよ、ああちゃんを仕合せにして呉れるんだから、きっと幸坊も仕合せになってよ、……ああちゃんそればっかり祈っているわね」