Japanische Klassiker mit Furigana
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やなぎばしものがたり
柳橋物語
山本 周五郎
Lesen Sie 柳橋物語 (やなぎばしものがたり) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 104.300 Zeichen · 202 Bildschirme
「ひょんな噂か……」幸太はぐらっと頭を垂れた、「……そうだ噂なんか構わないとは、おれに云えることじゃあない、世間なんてものは、平気で人を生かしも殺しもするからな、わかったよ爺さん」
「悪くとって呉れちゃあ困るぜ幸さん、おまえだって杉田屋の名跡を継ぐ大事なからだ、嫁でも取って身が固まったら、また元どおり来て貰いたいんだ、ゆくさきおせんのためにも、ちからになって呉れるのは幸さんだからな」
「遠のくよ、爺さん」幸太は頭を垂れたまま独り言のように云った、「……悪い噂なんぞ立っちゃあ済まないからな」
「それでいいんだ、そこでまあ一杯いこう、おせん酒が冷えているぜ」
なんというしっこしのない幸さんだろう、おせんはこの問答を聞いて歯痒くなった。もっとてきぱきした男だった。向っ気の強い代りにはわかりも早く、諄いところなどは薬ほどもない人だったのに、「……どうかしているんだわ」酒の燗を直しながら、おせんは苛いらしい気持でそう呟いた。……幸太はそれから半刻あまりして帰った、ひどく酔って、草履を穿くのに足がきまらないくらいだった。彼が外へ出て二三間いったとき、
「おや若頭梁じゃあありませんか」