Japanische Klassiker mit Furigana
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ぜにがたへいじとりものひかえ
橋の上の女 ――銭形平次傑作選2
野村 胡堂
Lesen Sie 橋の上の女 ――銭形平次傑作選2 (ぜにがたへいじとりものひかえ) von 野村 胡堂 (のむらこどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 88.573 Zeichen · 178 Bildschirme
深川からやって来たというのです。
「可哀想じゃありませんか。表口から入るのを遠慮して、お勝手口で泣いてるような内気な娘なんですもの。会って話を聴いた上で、力になってあげて下さい」
女同士の思いやりから、娘の衣紋を直さしたり、泣き濡れた顔を洗わせたりして、お静はお萩を夫の前へ押しやるのでした。
「どうしたというのだ、一応話して見るがいい。お前は父親が殺されたと思い込んでも、やはり食中りで死んだのかも知れない。いきなり深川まで出しゃ張って、恥を掻くのも変なものだ、――尤もことと次第ではずいぶん力になってやらないものでもないが――」
平次の態度は、いつもの通り消極的でした。側で聴いているガラッ八の八五郎の方は、居住を直したり、額を叩いたり、長んがい顎を撫で廻したり、話を聴く前からもう、一方ならぬ興奮です。
お萩の話はたどたどしいものでしたが、根が悧発な娘らしく、父親の死んだ驚きの中にも、いろいろの人の話をかき集めて、どうやらその夜の出来事を彷狒させるのでした。
「そいつは気の毒だが、それだけじゃ手のつけようがない、医者はなんといっているんだ――」
検屍が済んで、葬いまで無事に運んだものを、もとに返して調べることは、御用聞風情の平次にはできないことです。