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Japanische Klassiker mit Furigana

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ぜにがたへいじとりものひかえ

橋の上の女 ――銭形平次傑作選2

野村 胡堂

Lesen Sie 橋の上の女 ――銭形平次傑作選2 (ぜにがたへいじとりものひかえ) von 野村 胡堂 (のむらこどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 88.573 Zeichen · 178 Bildschirme

Aozora Bunko

「石突に血が付いているじゃないか。よく見るがいい」

「あッ」

この辺りでは滅多に使わない、鉄の石突の着いた棹ですが、その先の錆に交って、明かに洗い残した血の痕がみえるのでした。

「人にいうな、櫛のこともこの棹の血も内証だぞ」

「ヘエ」

平次は外廻りはそれくらいにして、家の中へ入ると、まず妾のお常を呼び出して貰いました。

「昨夜のことを詳しく訊きたいな、御新造」

平次は六畳の縁側にかけたまま、遠く主人万兵衛の死体を見ながら、こう始めるのでした。如何にも気の置けない態度です。

「亥刻(十時)時分でした。主人は何時ものように、土蔵から家の廻りを見廻って来るからと、提灯をつけて出て行きました。――その提灯は今朝蔵の戸前の外に消したまま、ありましたが」

「確かに燃えきってはいなかったのだな」

「新しい蝋燭を入れて行きましたが、ちょっとくらい減っているようです」

この女は恐ろしく無智らしい癖に、妙に行届いたところがあります。

「夜の見廻りは丁寧で、どうかすると半刻もかかることがありますが、それにしてもあんまり遅いので、子刻(十二時)近くになってから、幸吉さんが様子を見に出かけましたが、どこにも見えなかったそうで、間もなく戻って参りました」