Japanische Klassiker mit Furigana
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ぜにがたへいじとりものひかえ
橋の上の女 ――銭形平次傑作選2
野村 胡堂
Lesen Sie 橋の上の女 ――銭形平次傑作選2 (ぜにがたへいじとりものひかえ) von 野村 胡堂 (のむらこどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 88.573 Zeichen · 178 Bildschirme
、ザンバラ髪になって、すごすごと帰る人間が多くなったのです。
誰が一体、何んの意趣でそんな悪戯をするのか、全く見当もつきません。髷を切られるのは武家に限り、二本差でないものは、どんなに酔払って居ても、たった一人で通っても、何の障りもなく、武士は二三人繋がって歩いて居ても、そのうちのたった一人だけが見事に髷を切られることさえあるのでした。
切られた者の話によると、足音も立てずに忍び寄って、恐ろしい手際で抜き討に髷節を払い、サッと風の如く飛去るらしいというのです。中には頭の上を鳥が飛んだように感じたとか、頬をかすめて、一陣の風が吹いたと感じたときは、もう自分の髷節は切られて、バラリと毛が耳へ下がって来て居るというのです。
その切られた髷は、幾つかずつ縄で編んで場所もあろうに、五十間の右手の高札場、丁度見返り柳と相対して、曝しものにするのです。もとより髷を切られた本人は来るわけはありませんが、
「あっ、今日は三つだ」
「昨日は二つだったが、――切られた奴の顔が見度いネ」
「あれが千になると大願成就だとよ」
「何んの願を掛けて居るんだろう」
指さして笑うのは、切られる心配のない町人共で、武士は苦々しく横眼で睨んで通るのです。