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Japanische Klassiker mit Furigana

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れもん

檸檬・ある心の風景 他二十編

梶井 基次郎

Lesen Sie 檸檬・ある心の風景 他二十編 (れもん) von Kajii Motojirō (梶井 基次郎) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 127.934 Zeichen · 263 Bildschirme

Aozora Bunko

堯は十二月になっても蝶がいるのに驚いた。それの飛んで行った方角には日光に撒かれた虻の光点が忙しく行き交うていた。

「痴呆のような幸福だ」と彼は思った。そしてうつらうつら日溜りに屈まっていた。――やはりその日溜りの少し離れたところに小さい子供達がなにかして遊んでいた。四五歳の童子や童女達であった。

「見てやしないだろうな」と思いながら堯は浅く水が流れている溝のなかへ痰を吐いた。そして彼らの方へ近づいて行った。女の子であばれているのもあった。男の子で温柔しくしているのもあった。穉い線が石墨で路に描かれていた。――堯はふと、これはどこかで見たことのある情景だと思った。不意に心が揺れた。揺り覚まされた虻が茫漠とした堯の過去へ飛び去った。その麗かな臘月の午前へ。

堯の虻は見つけた。山茶花を。その花片のこぼれるあたりに遊んでいる童子たちを。――それはたとえば彼が半紙などを忘れて学校へ行ったとき、先生に断わりを言って急いで自家へ取りに帰って来る、学校は授業中の、なにか珍しい午前の路であった。そんなときでもなければ垣間見ることを許されなかった、聖なる時刻の有様であった。