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Japanische Klassiker mit Furigana

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れもん

檸檬・ある心の風景 他二十編

梶井 基次郎

Lesen Sie 檸檬・ある心の風景 他二十編 (れもん) von Kajii Motojirō (梶井 基次郎) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 127.934 Zeichen · 263 Bildschirme

Aozora Bunko

二

またある一人は

「君はどこに住んでも直ぐその部屋を陰鬱にしてしまうんだな」と言った。

いつも紅茶の滓が溜っているピクニック用の湯沸器。帙と離ればなれに転っている本の類。紙切れ。そしてそんなものを押しわけて敷かれている蒲団。喬はそんななかで青鷺のように昼は寝ていた。眼が覚めては遠くに学校の鐘を聞いた。そして夜、人びとが寝静まった頃この窓へ来てそとを眺めるのだった。

深い霧のなかを影法師のように過ぎてゆく想念がだんだん分明になって来る。

彼の視野のなかで消散したり凝聚したりしていた風景は、ある瞬間それが実に親しい風景だったかのように、またある瞬間は全く未知の風景のように見えはじめる。そしてある瞬間が過ぎた。――喬にはもう、どこまでが彼の想念であり、どこからが深夜の町であるのか、わからなかった。暗のなかの夾竹桃はそのまま彼の憂鬱であった。物陰の電燈に写し出されている土塀、暗と一つになっているその陰影。観念もまたそこで立体的な形をとっていた。

喬は彼の心の風景をそこに指呼することができる、と思った。

二

どうして喬がそんなに夜更けて窓に起きているか、それは彼がそんな時刻まで寝られないからでもあった。