Japanische Klassiker mit Furigana
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れもん
檸檬・ある心の風景 他二十編
Lesen Sie 檸檬・ある心の風景 他二十編 (れもん) von Kajii Motojirō (梶井 基次郎) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 127.934 Zeichen · 263 Bildschirme
四
その幸福を信じる力が起こって来るかもしれない」
路に彳んでいる堯の耳に階下の柱時計の音がボンボン……と伝わって来た。変なものを聞いた、と思いながら彼の足はとぼとぼと坂を下って行った。
四
街路樹から次には街路から、風が枯葉を掃ってしまったあとは風の音も変わっていった。夜になると街のアスファルトは鉛筆で光らせたように凍てはじめた。そんな夜を堯は自分の静かな町から銀座へ出かけて行った。そこでは華ばなしいクリスマスや歳末の売出しがはじまっていた。
友達か恋人か家族か、舗道の人はそのほとんどが連れを携えていた。連れのない人間の顔は友達に出会う当てを持っていた。そしてほんとうに連れがなくとも金と健康を持っている人に、この物欲の市場が悪い顔をするはずのものではないのであった。
「何をしに自分は銀座へ来るのだろう」
堯は舗道が早くも疲労ばかりしか与えなくなりはじめるとよくそう思った。堯はそんなときいつか電車のなかで見たある少女の顔を思い浮かべた。
その少女はつつましい微笑を泛べて彼の座席の前で釣革に下がっていた。どてらのように身体に添っていない着物から「お姉さん」