Japanische Klassiker mit Furigana
ja-reading.com
Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.
れもん
檸檬・ある心の風景 他二十編
Lesen Sie 檸檬・ある心の風景 他二十編 (れもん) von Kajii Motojirō (梶井 基次郎) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 127.934 Zeichen · 263 Bildschirme
のような首が生えていた。その美しい顔は一と眼で彼女が何病だかを直感させた。陶器のように白い皮膚を翳らせている多いうぶ毛。鼻孔のまわりの垢。
「彼女はきっと病床から脱け出して来たものに相違ない」
少女の面を絶えず漣のように起こっては消える微笑を眺めながら堯はそう思った。彼女が鼻をかむようにして拭きとっているのは何か。灰を落としたストーヴのように、そんなとき彼女の顔には一時鮮かな血がのぼった。
自身の疲労とともにだんだんいじらしさを増していくその娘の像を抱きながら、銀座では堯は自分の痰を吐くのに困った。まるでものを言うたび口から蛙が跳び出すグリムお伽噺の娘のように。
彼はそんなとき一人の男が痰を吐いたのを見たことがある。ふいに貧しい下駄が出て来てそれをすりつぶした。が、それは足が穿いている下駄ではなかった。路傍に茣蓙を敷いてブリキの独楽を売っている老人が、さすがに怒りを浮かべながら、その下駄を茣蓙の端のも一つの上へ重ねるところを彼は見たのである。
「見たか」そんな気持で堯は行き過ぎる人びとを振り返った。が、誰もそれを見た人はなさそうだった。老人の坐っているところは、それが往来の目に入るにはあまりに近すぎた。