Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

ja-reading.com

Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.

れもん

檸檬・ある心の風景 他二十編

梶井 基次郎

Lesen Sie 檸檬・ある心の風景 他二十編 (れもん) von Kajii Motojirō (梶井 基次郎) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 127.934 Zeichen · 263 Bildschirme

Aozora Bunko

干潮で荒い浪が月光に砕けながらどうどうと打ち寄せていました。私は煙草をつけながら漁船のともに腰を下して海を眺めていました。夜はもうかなり更けていました。

しばらくして私が眼を砂浜の方に転じましたとき、私は砂浜に私以外のもう一人の人を発見しました。それがK君だったのです。しかしその時はK君という人を私はまだ知りませんでした。その晩、それから、はじめて私達は互いに名乗り合ったのですから。

私は折りおりその人影を見返りました。そのうちに私はだんだん奇異の念を起こしてゆきました。というのは、その人影――K君――は私と三四十歩も距っていたでしょうか、海を見るというのでもなく、全く私に背を向けて、砂浜を前に進んだり、後に退いたり、と思うと立ち留ったり、そんなことばかりしていたのです。私はその人がなにか落し物でも捜しているのだろうかと思いました。首は砂の上を視凝めているらしく、前に傾いていたのですから。しかしそれにしては跼むこともしない、足で砂を分けて見ることもしない。満月でずいぶん明るいのですけれど、火を点けて見る様子もない。

私は海を見ては合間合間に、その人影に注意し出しました。