Japanische Klassiker mit Furigana
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れもん
檸檬・ある心の風景 他二十編
Lesen Sie 檸檬・ある心の風景 他二十編 (れもん) von Kajii Motojirō (梶井 基次郎) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 127.934 Zeichen · 263 Bildschirme
そしてこんなことを話しました。
「私が高等学校の寄宿舎にいたとき、よその部屋でしたが、一人美少年がいましてね、それが机に向かっている姿を誰が描いたのか、部屋の壁へ、電燈で写したシルウェットですね。その上を墨でなすって描いてあるのです。それがとてもヴィヴィッドでしてね、私はよくその部屋へ行ったものです」
そんなことまで話すK君でした。聞きただしてはみなかったのですが、あるいはそれがはじまりかもしれませんね。
私があなたのお手紙で、K君の溺死を読んだとき、最も先に私の心象に浮かんだのは、あの最初の夜の、奇異なK君の後姿でした。そして私はすぐ、
「K君は月へ登ってしまったのだ」
と感じました。そしてK君の死体が浜辺に打ちあげられてあった、その前日は、まちがいもなく満月ではありませんか。私はただ今本暦を開いてそれを確かめたのです。
私がK君と一緒にいました一と月ほどの間、そのほかにこれと言って自殺される原因になるようなものを、私は感じませんでした。でも、その一と月ほどの間に私がやや健康を取り戻し、こちらへ帰る決心ができるようになったのに反し、K君の病気は徐々に進んでいたように思われます。