Japanische Klassiker mit Furigana
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れもん
檸檬・ある心の風景 他二十編
Lesen Sie 檸檬・ある心の風景 他二十編 (れもん) von Kajii Motojirō (梶井 基次郎) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 127.934 Zeichen · 263 Bildschirme
新しいところへ触れて行くたびに「これは熱い」と思われた。――
「またこれから行かんならん」と言って女は帰る仕度をはじめた。
「あんたも帰るのやろ」
「うむ」
喬は寝ながら、女がこちらを向いて、着物を着ておるのを見ていた。見ながら彼は「さ、どうだ。これだ」と自分で確めていた。それはこんな気持であった。――平常自分が女、女、と想っている、そしてこのような場所へ来て女を買うが、女が部屋へ入って来る、それまではまだいい、女が着物を脱ぐ、それまでもまだいい、それからそれ以上は、何が平常から想っていた女だろう。「さ、これが女の腕だ」と自分自身で確める。しかしそれはまさしく女の腕であって、それだけだ。そして女が帰り仕度をはじめた今頃、それはまた女の姿をあらわして来るのだ。
「電車はまだあるか知らん」
「さあ、どうやろ」
喬は心の中でもう電車がなくなっていてくれればいいと思った。階下のおかみは
「帰るのがお厭どしたら、朝まで寝とおいやしても、うちはかましまへん」と言うかも知れない。それより「誰ぞをお呼びやおへんのどしたら、帰っとくれやす」と言われる方が、と喬は思うのだった。