Japanische Klassiker mit Furigana
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れもん
檸檬・ある心の風景 他二十編
Lesen Sie 檸檬・ある心の風景 他二十編 (れもん) von Kajii Motojirō (梶井 基次郎) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 127.934 Zeichen · 263 Bildschirme
ある家の裏には芭蕉の葉が垂れている。糸杉の巻きあがった葉も見える。重ね綿のような恰好に刈られた松も見える。みな黝んだ下葉と新しい若葉で、いいふうな緑色の容積を造っている。
遠くに赤いポストが見える。
乳母車なんとかと白くペンキで書いた屋根が見える。
日をうけて赤い切地を張った張物板が、小さく屋根瓦の間に見える。――
夜になると火の点いた町の大通りを、自転車でやって来た村の青年達が、大勢連れで遊廓の方へ乗ってゆく。店の若い衆なども浴衣がけで、昼見る時とはまるで異ったふうに身体をくねらせながら、白粉を塗った女をからかってゆく。――そうした町も今は屋根瓦の間へ挾まれてしまって、そのあたりに幟をたくさん立てて芝居小屋がそれと察しられるばかりである。
西日を除けて、一階も二階も三階も、西の窓すっかり日覆をした旅館がやや近くに見えた。どこからか材木を叩く音が――もともと高くもない音らしかったが、町の空へ「カーン、カーン」と反響した。
次つぎ止まるひまなしにつくつく法師が鳴いた。「文法の語尾の変化をやっているようだな」ふとそんなに思ってみて、聞いていると不思議に興が乗って来た。