Japanische Klassiker mit Furigana
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れもん
檸檬・ある心の風景 他二十編
Lesen Sie 檸檬・ある心の風景 他二十編 (れもん) von Kajii Motojirō (梶井 基次郎) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 127.934 Zeichen · 263 Bildschirme
そのあたりで測量の巻尺が光っていた。
川水は荒神橋の下手で簾のようになって落ちている。夏草の茂った中洲の彼方で、浅瀬は輝きながらサラサラ鳴っていた。鶺鴒が飛んでいた。
背を刺すような日表は、蔭となるとさすが秋の冷たさが跼っていた。喬はそこに腰を下した。
「人が通る、車が通る」と思った。また
「街では自分は苦しい」と思った。
川向うの道を徒歩や車が通っていた。川添の公設市場。タールの樽が積んである小屋。空地では家を建てるのか人びとが働いていた。
川上からは時どき風が吹いて来た。カサコソと彼の坐っている前を、皺になった新聞紙が押されて行った。小石に阻まれ、一しきり風に堪えていたが、ガックリ一つ転ると、また運ばれて行った。
二人の子供に一匹の犬が川上の方へ歩いて行く。犬は戻って、ちょっとその新聞紙を嗅いで見、また子供のあとへついて行った。
川のこちら岸には高い欅の樹が葉を茂らせている。喬は風に戦いでいるその高い梢に心は惹かれた。ややしばらく凝視っているうちに、彼の心の裡のなにかがその梢に棲り、高い気流のなかで小さい葉と共に揺れ青い枝と共に撓んでいるのが感じられた。