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Japanische Klassiker mit Furigana

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れもん

檸檬・ある心の風景 他二十編

梶井 基次郎

Lesen Sie 檸檬・ある心の風景 他二十編 (れもん) von Kajii Motojirō (梶井 基次郎) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 127.934 Zeichen · 263 Bildschirme

Aozora Bunko

義兄は落ちついてしまって、まるで無感覚である。

「へ、お火鉢」婦はこんなことをそわそわ言ってのけて、忙しそうに揉手をしながらまた眼をそらす。やっと銀貨が出て婦は帰って行った。

やがて幕があがった。

日本人のようでない、皮膚の色が少し黒みがかった男が不熱心に道具を運んで来て、時どきじろじろと観客の方を見た。ぞんざいで、おもしろく思えなかった。それが済むと怪しげな名前の印度人が不作法なフロックコートを着て出て来た。何かわからない言葉で喋った。唾液をとばしている様子で、褪めた唇の両端に白く唾がたまっていた。

「なんて言ったの」姉がこんなに訊いた。すると隣のよその人も彼の顔を見た。彼は閉口してしまった。

印度人は席へ下りて立会人を物色している。一人の男が腕をつかまれたまま、危う気な羞笑をしていた。その男はとうとう舞台へ連れてゆかれた。

髪の毛を前へおろして、糊の寝た浴衣を着、暑いのに黒足袋を穿いていた。にこにこして立っているのを、先ほどの男が椅子を持って来て坐らせた。

印度人は非道いやつであった。

握手をしようと言って男の前へ手を出す。男はためらっていたが思い切って手を出した。