Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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れもん

檸檬・ある心の風景 他二十編

梶井 基次郎

Lesen Sie 檸檬・ある心の風景 他二十編 (れもん) von Kajii Motojirō (梶井 基次郎) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 127.934 Zeichen · 263 Bildschirme

Aozora Bunko

「ポーリンさんにシマノフさん、いらっしゃい」

ウエイトレスの顔は彼らを迎える大仰な表情でにわかに生き生きし出した。そしてきゃっきゃっと笑いながら何か喋り合っていたが、彼女の使う言葉はある自由さを持った西洋人の日本語で、それを彼女が喋るとき青年達を給仕していたときとはまるでちがった変な魅力が生じた。

「僕は一度こんな小説を読んだことがある」

聴き手であった方の青年が、新しい客の持って来た空気から、話をまたもとへ戻した。

「それは、ある日本人が欧羅巴へ旅行に出かけるんです。英国、仏蘭西、独逸とずいぶんながいごったごたした旅行を続けておしまいにウィーンへやって来る。そして着いた夜あるホテルへ泊まるんですが、夜中にふと眼をさましてそれからすぐ寝つけないで、深夜の闇のなかに旅情を感じながら窓の外を眺めるんです。空は美しい星空で、その下にウィーンの市が眠っている。その男はしばらくその夜景に眺め耽っていたが、彼はふと闇のなかにたった一つ開け放された窓を見つける。その部屋のなかには白い布のような塊りが明るい燈火に照らし出されていて、なにか白い煙みたようなものがそこから細くまっすぐに立ち騰っている。