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Japanische Klassiker mit Furigana

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れもん

檸檬・ある心の風景 他二十編

梶井 基次郎

Lesen Sie 檸檬・ある心の風景 他二十編 (れもん) von Kajii Motojirō (梶井 基次郎) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 127.934 Zeichen · 263 Bildschirme

Aozora Bunko

なぜなら、その路へは大っぴらに通りすがりの家が窓を開いているのだった。そのなかには肌脱ぎになった人がいたり、柱時計が鳴っていたり、味気ない生活が蚊遣りを燻したりしていた。そのうえ、軒燈にはきまったようにやもりがとまっていて彼を気味悪がらせた。彼は何度も袋路に突きあたりながら、――そのたびになおさら自分の足音にうしろめたさを感じながら、やっと崖に沿った路へ出た。しばらくゆくと人家が絶えて路が暗くなり、わずかに一つの電燈が足もとを照らしている、それが教えられた場所であるらしいところへやって来た。

そこからはなるほど崖下の町が一と目に見渡せた。いくつもの窓が見えた。そしてそれは彼の知っている町の、思いがけない瞰下景であった。彼はかすかな旅情らしいものが、濃くあたりに漂っているあれちのぎくの匂いに混じって、自分の心を染めているのを感じた。

ある窓では運動シャツを着た男がミシンを踏んでいた。屋根の上の闇のなかにたくさんの洗濯物らしいものが仄白く浮かんでいるのを見ると、それは洗濯屋の家らしく思われるのだった。またある一つの窓ではレシーヴァを耳に当てて一心にラジオを聴いている人の姿が見えた。