Japanische Klassiker mit Furigana
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ひとうとうこうき
比島投降記
石川 欣一
Lesen Sie 比島投降記 (ひとうとうこうき) von 石川 欣一 (いしかわきんいち) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 68.333 Zeichen · 134 Bildschirme
という。あの子というのは、五つになる可愛い女の子で、人気者になっていたが、呼ぶとすぐやって来た。すると兵隊は黙ってバナナを差出し、ニコリともしないで、女の子に手渡した。女の子が「お母ちゃん、バナナ貰ったよ」と走って行く後を見送りながら、兵隊はキャメルを僕にくれ、自分も一本咥えて、まず僕のにライターで火をつけてから、話を始めた。俺はヴァージニアの坑夫で、家は丘の中腹にあり、すぐ前を鉄道が通っている。女の子が二人いて下の子はあの子と同じ位だ。女房の手紙によると、子供は汽車がダディを連れて行ったと思っている。だから汽車がダディを連れて帰って来るといって、汽車が通るたびごとに窓の所へ走って行く……という話から、兄弟のこと、細君の兄弟のこと、誰かと喧嘩したことなど、およそ三十分も、南部なまりで喋った。
このヴァージニアの坑夫とは、その後二、三回会った。柵外に事務所と呼ばれるテントがあり、色々な用事で僕は一日に数回そこへ行ったが、ある時そのテントに、彼を入れて三人の米兵が集まり、何が一番食いたいか話していた。若い男は「お袋のつくるパイだ」――これは米国での月並文句である――といい、もう一人はフライド・チキンだといった。