Japanische Klassiker mit Furigana
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ひとうとうこうき
比島投降記
石川 欣一
Lesen Sie 比島投降記 (ひとうとうこうき) von 石川 欣一 (いしかわきんいち) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 68.333 Zeichen · 134 Bildschirme
というのが、彼はいつからか、病死者の遺骸を運搬する役を引受けていたからである。
病院での僕の仕事の一つは、毎朝八時現在の報告書を出すことだった。それまでの二十四時間に、何人が入院し、退院し、死亡したかが、報告書の主要点であり、死亡者は氏名、階級、病名をも書きこむ。この報告書を持って、事務所テントへ行くと、本部へ電話で申告し、死亡者のある場合には、その日の中にトラックが迎えに来る。死骸は古い担架にのせ、毛布をかぶせて、トラックに積みこむのだが、十中八九素足が毛布からはみ出し、これまた十中八九マラリアか、あるいはマラリアを併発しての病気なので、黄色い皮膚が南国の太陽に照らされ、いたましい光景を呈するのを常とした。親しい戦友か、あるいは常備使役の兵隊が四人、スコップと十字鍬を持って乗りこむ。埋葬地はどこか、とにかく、病院や収容所からは見えぬ所にあった。
アパリの収容所事務を扱ったのは、独立水陸両用戦車大隊の一中隊であった。ABは戦車の運転手だったそうで、いわば歴戦の勇士なのだが、実に物静かで、黙々と死体の運搬をやった。いやな仕事に違いないのに、いやな顔をするでもなし、文句をいうでもなかった。