Japanische Klassiker mit Furigana
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ひとうとうこうき
比島投降記
石川 欣一
Lesen Sie 比島投降記 (ひとうとうこうき) von 石川 欣一 (いしかわきんいち) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 68.333 Zeichen · 134 Bildschirme
といい出したのである。
「あのボーイは、何も俺を殺したいと思っていやしない、俺だって、あのボーイを殺そうと思いもしない。だが、上の方にいる大物が戦争をしろというので、あのボーイは俺を殺さなければ自分が殺されるので俺を殺したいと思い、俺だって同じことだ。戦争っていやなものだ。俺は嫌いだ」と一気にいって、そのまま黙りこんでしまった。僕に聞かせるというよりも、単にひとりごとをいったのであろう。「君のホームはどこだ」と聞くと、なんだ、お前、英語が分るのか、というような顔をしていたが、「エル・パソだ」と答えた。He don't は文法的に間違っているけど、こんな間違いはざらにあるし、我々だって、必ずしも、文法的に正確な日本語ばかりを話していはしない。この一事で、米国の兵隊は無学だなぞと、早呑込みをしないように、ちょっと断っておく。
それはそうと、Jは無口な男で、それきり僕にあっても何もいわないし、僕も黙っていた。浦賀で上陸する日の朝、さよなら! といっただけである。だが、あの晩の「ザット・ボーイ」だけは、僕はいつまでも忘れないだろうと思う。