Japanische Klassiker mit Furigana
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ひとうとうこうき
比島投降記
石川 欣一
Lesen Sie 比島投降記 (ひとうとうこうき) von 石川 欣一 (いしかわきんいち) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 68.333 Zeichen · 134 Bildschirme
アパリのストケードは広かった。柵はなくて、アコーディオン・ワイヤをめぐらし、その外側に十二のポストを置いて比島兵が警備していた。アコーディオン・ワイヤというのは、路上に横たえて自動車等の通行を邪魔する有刺鉄線で、捲くと小さくなり、引張ると延びる具合が手風琴に似ているので、こう呼ばれる。鉄線の外、ところどころに電灯がつき、なお電灯は正面入口――といって、出入口は一つしかない――や診療所、その他二、三の幕舎にも引いてあった。
正面入口から向って右に二列に並べた天幕が病院、その前の広い通路をへだてた左側とつきあたりにズラリと並べた天幕が、一般PWの住所、便所と塵埃焼場は、正面を除いた三方に適宜に配置され、非常にしばしば埋めては新しいのを掘った。便所はいわゆるラットリン(聯繋便所と訳す)。バーラップでかこい、長い板二枚を固定し、一尺ほどの間隙には、針金を取手とする可動式の板を置いて蓋とした。使用後は空缶で砂をかけ、蓋をする上に、毎日例のDDTで消毒するから、きれいなものである。塵埃焼場も深い穴で、可燃物と空缶類とは別々の穴に投入れることにした。そしてHという衛生兵が、毎日ガソリンか重油を注いで焼くことを仕事にしていた。