Japanische Klassiker mit Furigana
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ひとうとうこうき
比島投降記
石川 欣一
Lesen Sie 比島投降記 (ひとうとうこうき) von 石川 欣一 (いしかわきんいち) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 68.333 Zeichen · 134 Bildschirme
どこかに桟橋か何かあるとよいがと、士官連中はしきりに望遠鏡でさがしたが、何も見えない。
その中に、遠くの方に、バンカが現れた。こっちへ来いといくら呼んでも知らん顔をしている。僕はとっておきのタガログ語で「ハリカ・リト!」とどなった。「ここへ来い」という意味である。それが通じたのか、あるいは何か用事が終ったのか、恐らく後者だろうと思うが、バンカはノロノロと近づいて来た。老人と、利口そうな顔をした少年とが乗っている。この少年は英語が少々分る。「桟橋は無い。カシグランの町はこの海岸から一キロばかりの所にある。日本兵はいる」大体この位のことが分ったので、我々は昼飯を済ませてから上陸することになった。
僕の乗っていた艦には、ボートが無い。僚艦がボートを下したが、すごく古いボートで、下したとたんに水が入った。僕の艦からは艦長と、Rという陸軍大尉と僕が乗り、僚艦からは海軍中尉が乗った。乗組の水兵や陸兵は、あんまりボートが水びたしなので、面白がって見下している。最後に僕が乗ると、艦長が“Can you swim, Ishi ?”といった。僕は“Yes, sir”と元気に答えた。