Japanische Klassiker mit Furigana
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ひとうとうこうき
比島投降記
石川 欣一
Lesen Sie 比島投降記 (ひとうとうこうき) von 石川 欣一 (いしかわきんいち) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 68.333 Zeichen · 134 Bildschirme
社の同人や、あちこちで知合いになった人々にも再会した。ここでは「先輩」と称する、早く投降した人達が、ひどく横暴を極め、不愉快なこともあったが、それは忘れてしまうことにしよう。キャンプは三回変ったが、どのキャンプからもマキリン山とラグナ湖が見えた。火山灰の赤黒い畑にはPWが栽培する大根や豆が青々としていて、涼しい朝など、日本の春を思わせるような小鳥の鳴声が聞えた。
ここはルソン全島のPWやCIが最後に収容され、調べられる場所なので、帰国する人が、だいぶん多かった。僕は二ヶ月あまりもあちらこちらで働いて入所が遅れ、番号も二三五五〇という、非常に多い数字だった。従って釈放されるのも、恐らく一番ビリになるものと覚悟していた。
十二月の九日に、二世の曹長が来て、簡単な訊問をした。変名を使ったことはないか、マニラでは何をしていたか等のことを聞かれた。翌朝四人のCIと共に呼び出され、本部と呼ばれるキャンプで一泊した上、一千五百名のPWの群と一緒に無蓋貨車でマニラへ送られた。僕よりも早く入所した人々がまだ多数残っているのに、僕の方が早く帰国出来ることは、少々済まないような気がした。