Japanische Klassiker mit Furigana
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えどまえのつり
江戸前の釣り
三遊亭 金馬
Lesen Sie 江戸前の釣り (えどまえのつり) von 三遊亭 金馬 (さんゆうていきんば) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 106.910 Zeichen · 214 Bildschirme
朝の一番電車とバスは釣り竿を持った大小の太公望で乗りきれない騒ぎである。
釣り場はそれこそ目白押し、肩と肩がふれあって、後ろの人は前の人の肩から竿を出している。隣の人と糸をからませて引っ張り合って、俗に「お祭り」騒ぎが各所にくりひろげられている。
釣り場の近所には餌のゴカイを売る臨時商売までできあがる。引き潮どきに足もとを掘れば自分でいくらでもとれるのだが、猪口に一杯二十円、三十円という値段で羽がはえて飛ぶように売れる。
釣っているところへ土地の女子供がアルバイトに、
「ゴカイはいりませんか」
と売りにくる。ハゼの餌ばかりでなく人間の餌も売りにくる。自転車に赤い旗を立てて、
「エー、アンパンに食パン」
「牛乳にサイダー」
「アイスクリームにキャンディー」
と、さながら映画館の一回の終わりのようだ。
帰りのバス、電車の乗り場には釣れなかった人のために縄でとったハゼ、アサリ、シジミなども売っている。
なぜ初心者の女子供にハゼが人気があるのか、などと考え込むにおよばない。俗に馬鹿ハゼというくらい、餌さえつければ人見知りをしないで、誰にでもたやすく釣れる。うっかりしていると腹の奥深く針ごと飲みこんでしまう。