Japanische Klassiker mit Furigana
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ろうごくのはなよめ
牢獄の花嫁
吉川 英治
Lesen Sie 牢獄の花嫁 (ろうごくのはなよめ) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 162.213 Zeichen · 325 Bildschirme
作兵衛爺は、岩松の親だ。乳呑児の時から男の手一つで育てて来た親だ。眼のいろ、唇のうごき、手真似、身振だけでも、話は立派に通じるんだ」
「なるほど」
「その結果。貴公がこっちへ来たらしいということ、また、老先生が百日の期間のうちに、事件の解決を約して、それが果せない時は、郁次郎殿も処刑をうけ、ご自分も、腹を切って死ぬお覚悟だということも分った。――しかもそれが、一昨日の雷雨の晩のことだ。夜明けと共に八方、貴公の行方を尋ねたところが、つい谷向うの、岩窟牢に抛り込まれているじゃないか」
「ああ、有難い! 神はまだおれ達を見捨てない」
「そうだ。正義はきっと勝つよ」
「すぐに、江戸へ行こう」
「ばかを言え、その体で」
「なにくそ! 行ける! 歩ける!」
「いかんいかん。そう気ばかり立っても、肉体が承知しない。まあ、二、三日、静かに寝て、体をこしらえろ」
「愚図愚図していると、もう日がない」
「何、まだ一月はある」
そんなことをいってる間に、山火事はひろがった。作兵衛は、含月荘の山侍がここへ来ては大変だからと言って、二人を、べつな薪小屋の中へ匿し、自分は何食わない顔をして、火事を消す手使いに駈けて行った。