Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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ろうごくのはなよめ

牢獄の花嫁

吉川 英治

Lesen Sie 牢獄の花嫁 (ろうごくのはなよめ) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 162.213 Zeichen · 325 Bildschirme

Aozora Bunko

「この上は、獄門、逆磔、いかなる極刑も甘んじてうけまするが、どうせの罪ほろぼしに、公儀の大事にかかわるもう一つの陰謀を、併せて自白したいと存じます。そして、心涼しく刑をうけたい願いにござります」

「神妙じゃ。――したが公儀にかかる陰謀とは」

「党類も数多あって、諸藩へもかかわることですから、願わくば、別室を拝借して、ひそかに申し上げたいと思いますが」

「フーム」

と、老先生は、ちと、むずかしい顔をしたが、羅門の悔悟が、偽りではないらしいと見て、

「よろしい、何事か知らんが、ここで言われぬ事とあれば」

と、別室へ連れて行って、二人きりで、対座した。

さすがに、恥を知るか、羅門は、両手をついたまま、いつまでも、ひれ伏していた。けれど、余りにそのもじもじしている間が長いので、老先生も、少し、焦れッたくなって来た。

すると――ギリギリギリ、と遠い書院か何処かで、時計の音がした。老先生は、はッとした。今のはもう、夜明けに近い、六刻前の時計ではないか。

さては、この底の知れない極悪人は、わざと、最も深刻な故意と用意をもって、自分の時刻をつぶしているのではあるまいか。